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日経平均株価最高値更新!!~その要因と今後の考察~

遂に、日経平均株価が、1989年12月29日に付けた3万8915円の最高値を更新しました!

実に35年ぶりの高値更新です!!


バブル崩壊後、日本は失われた30年と言われ、実体経済も日本株も停滞してきました。
しかし、35年の時を経て、日経平均株価は終値ベースでも最高値を更新し、2024年3月4日には4万円という大台も突破しました。

それも束の間、、
3月11日には、大幅下落をし、3万8820円に戻ってしまいました。

最高値更新はとても大きなニュースですが、高値更新の要因と今後の日本株式の未来について解説していきたいと思います。

結論

日経平均株価が史上最高値を更新した要因は
①日本企業の業績好調
②PBR1倍割れの解消期待
③日銀の金融緩和維持姿勢
④円安の進行で海外勢の買い越し
⑤中国からの資金シフト
上記の5つが要因として考えられます。

この中で③④⑤については、為替市場や海外市場によって、今後かわってしまう要因ですので、今後の日本株式が上昇を続けるには、①②の要因を継続・拡大していく必要があると考えます。



①日本企業の業績好調

日本では長らくデフレが続いてました。

しかし、新型コロナウィルスをきっかけに、世界中がインフレになりました。

加えて、ロシアウクライナ戦争により、さらにインフレが加速しました。


世界的には、インフレは痛手でしたが、日本企業にとっては、インフレマインドにより価格転嫁が実施でき、業績を上げる要因となりました。

また、円安により輸出企業にも追い風が吹き、さらに企業業績を上げることができました。


実際に、1株あたりの利益を2022年末から欧米は下落しているのに対し、日本企業は4%の上昇をしています。



②PBR1倍割れの解消期待

PBRとは、Price Book-value Ratioの略語で、株価純資産倍率のことです。
株価が割安か割高かを判断する最も重要な指標の1つです。

日本企業では、このPBRが1倍を割れている企業が多く存在していました。

そこで東京証券取引所は、2023年春にプライム・スタンダード市場を対象として、株価純資産倍率(PBR)が継続して1倍を割っている企業に改善に向けた取り組みや進捗状況の開示を要請する方針を示しました。

この方針は、2022年7月末から始まった東京証券取引所の市場区分見直しに関するフォローアップ会議において、東証が継続してPBR(株価純資産倍率)が1倍割れとなっている企業に、改善に向けた計画を示すよう求める方針を明らかにしたことによります。

PBRは、企業の純資産(自己資本)に対して、株式時価総額を割った値です。
つまり、企業が持つ資産に対して、市場がどれだけ評価しているかを示す指標です。


例えば、ある企業のPBRが1.5倍である場合、その企業の株式時価総額は、その企業が持つ純資産の1.5倍であることを示します。


また、PBRは解散価値とも言われており、株式会社が解散をするときに、どれだけお金が残るかを表します。
この解散価値が1倍を割れているということはどういうことでしょうか?

例えば、わかりやすく「PBR0.5」の企業について確認していきましょう。
株式時価総額が1億円、純資産が2億円とします。
この会社を1億円(時価総額)で買収し、すぐに解散すると、純資産が2億円ありますので、1億円の利益を得ることになります。


1倍を割れるということは、実際の価値よりも安く放置されているのです。


株式は、人気投票によって価格が決まりますので、人気のない株、魅力のない株と判断されているわけです。


こんな状況を危惧して、東京証券取引所はPBR1倍割れの企業に改善するよう指示を出したわけです。


割安で放置されている企業に注目が集まり、少しずつ改善していることもあり、今回の高値更新の要因となっている可能性があります。


③日銀の金融緩和維持姿勢

2016年に導入された、マイナス金利はですが、近い将来解消される見込みがあります。

ですが、これは、継続的な利上げを示唆しているわけではないということが、日銀の会合の度に明らかになっています。

マイナス金利を解除した後も、ゼロ金利を維持する程度に留まるのではないかという観測が日本株の買い材料となっています。


④円安の進行で海外勢の買い越し

上記の日銀の金融緩和維持の姿勢により、円安が続いています。

円が安いということは、日本企業にとって輸出の面で業績に大きく貢献します。

また、海外の投資家からすると、日本株が安く手に入るチャンスでもあるため、海外勢の日本株買い越しが続いています。
円安が続く限り、この流れは一定期間続きのではないでしょうか。


しかし、残念のは、日本人は日本株を売り越しているので、日経平均株価が上昇した恩恵を、日本人は受けられていないとも言えます。


⑤中国からの資金シフト

日本やアメリカの株式市場が活況を呈している一方で、中国の株価は下落が続き、不動産不況が深刻化しており、投資マネーが中国市場から流出しています。

中国経済の減速、不動産不況や消費者の節約志向の高まり、外国企業の投資減少などが影響していると考えられます。

特に、経営危機にある「恒大グループ」に対する清算命令は、投資家の不安を増幅させた。このような状況下で、中国からの資金は日本株市場に向かっており、中国株に見切りをつけた投資家が日本株への投資を増やしています。

中国経済の先行きが不透明な中、投資家はリスクを避けて日本株市場に資金を移動させていますが、中国経済の動向や政策の進展によっては、市場の状況が変化する可能性もあるので注意が必要です。


今後の日本株について

ここまで前述した通り、5つの要因により、日本株式は上昇してきました。

しかし、3月11日の終値では、3万8820円に戻ってしまいました。

では、今後日本株式はどうなっていくのでしょうか?

前述した、
③日銀の金融緩和維持姿勢
④円安の進行で海外勢の買い越し
⑤中国からの資金シフト
については、為替市場や世界経済に大きく影響を受けます。

日銀が金融引き締めに動いたとしても、世界が利下げに動けば、円高方向に振れる可能性があります。
そうすると、海外勢の買いが減ってしまうかもしれません。

また、中国市場が回復してきたり、インド等の新興国が魅力的な市場になってくると、海外マネーは日本から流出していく可能性もあります。

これらの外的要因はコントロールができないので、今後の日本株が長期的に成長していけるかどうかというのは、
①日本企業の業績好調
②PBR1倍割れの解消期待
この2つにかかっていると言えます。

円安の追い風もありますが、世界的なインレから、価格転嫁が起こり、業績が上がってきました。
この流れを止めることなく、加えて賃金上昇も実現し、良い景気循環を起こす必要があります。

また、PBR1倍を達成するための、投資(人材+設備)をしていく必要があります。

この2つが達成・継続できれば、今後も日本株の上昇は続いていくかもしれません。


まとめ(日経平均株価と実体経済の乖離)

ここまで解説してきた通り、日経平均株価は、史上最高値を更新し、一時4万円を突破しました。

数字上の記録を達成しましたが、これは日本の実体経済とはかけ離れているという指摘も多くあります。


「株価は上がっているが、賃金が上がっていない」

ここに集約されていると思います。


企業は、価格転嫁によって売上や利益は上がっていますが、消費者からすると、生活費が上がってしまい家計を圧迫しているのが現状です。

今年も4月に春闘がありますが、大企業だけでなく、中小企業も含めた「賃上げ」が継続的に起こってこなければ、私達の生活は豊かになりません。

日経平均株価が上昇したからと言って、経済が良くなるわけではないので、35年ぶりの史上最高値は嬉しいニュースですが、私達自身、「投資家」でなければ、なんの恩恵も受けることができません。

是非このニュースをきかっけにして、資産運用を実践してみていただければと思います。


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