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日経平均株価がバブル崩壊後最高値更!! なぜ!?

連日、日経平均株価がバブル崩壊後最高値を更新のニュースが飛び込んできます。

景気がよくなったという実感がない方がほとんどなのに、日経平均が上昇していることに疑問を持つ方が多いのではないでしょうか?


今回は、6月13日付けで、日経平均がバブル崩壊後最高値を更新している要因と、今後の展望を解説していきたいと思います。


結論

5月6月と日経平均がバブル崩壊後最高値を更新している要因は

①日銀新総裁・植田氏による金融緩和継続

②東京証券取引所によるPBR1倍割れの改善要望

③投資の神様ウォーレン・バフェット氏の日本株への投資強化発言


他にもいくつか要因がありますが、この3つが海外マネーを呼び、日経平均上昇の大きな要因となっています。


そして、今回の日経平均上昇の裏には、海外マネーの流出というリスクもはらんでいます。
①日銀金融緩和の修正

②PBR1倍割れの改善失敗

③他国の金利低下による日本株割安メリットの消失

上記のようなリスクがあります。


では、続いて詳細解説をしていきたいと思います。


日経平均上昇の要因

日本経済は、バブル崩壊後「失われた〇〇年」と言われてきました。


〇〇年したのは、バブル崩壊後、現在進行形で日本経済は失われ続けているからです。
学校の授業でも習うワードですが、年齢によって、「失われた10年」と習っている人もいれば、「失われた20年」、「失われた30年」と習っている人もいます。


残念ながら、バブル崩壊後の30年間、日本人の賃金は上がらないにもかかわらず、税金や社会保険料は上昇し、国民の生活を圧迫してきました。
日経平均もバブル崩壊前の1989年年末、3万8915円の高値を付けた後、暴落し、そこから、ジリジリと下がり、2009年3月には7054円まで下落しました。


その後、アベノミクスの効果もあってか、回復に転じ、2021年2月と9月には、遂に30000円を越しましたが、再度押し下げられ、2023年5月に入り、バブル崩壊後の最高値を更新しています。


今回の上昇要因を3つに分けて解説していきます。


①日銀新総裁・植田氏による金融緩和継続

日本銀行の新総裁となった、植田氏は、前総裁の黒田氏の異次元金融緩和を継続すると5月25日に発表しました。


金融緩和を修正する主な要因は、景気が重要な判断材料となりますが、黒田総裁からずっと目標としているのが、「2%の物価上昇」です。


日本の物価上昇率は、これまたバブル崩壊後は、一時的要因でプラスになることはあれ、プラスマイナス1%付近を推移していました。
ところが、2022年のウクライナ危機によるエネルギー高やサプライチェーンの崩壊、記録的円安もあり、2022年度は3%の上昇、2023年度の見通しは1.8%上昇となっております。


昨年の上昇は、「供給要因」と言って、モノやサービスを供給する側の問題で物価が上がっていました。
例えば、円安による輸入コストの増加や、そもそも仕入れができなかったり、エネルギー高によるコストの増加もありました。


今年の上昇は、少し状況が変わり「需要要因」が6割というデータもあり、健全な物価上昇になりつつあります。


しかし、賃金の上昇を伴う、安定的な2%を超える物価上昇が確認できなければ、金融緩和終了までは行かないようです。


ここで金利を上げてしまうと、企業も個人も節約を強いられます。
企業では人件費を抑えたり(賃金圧縮等)、設備投資を抑えたりしますし、個人はローン返済が増えるので消費に回るお金は減ります。
そうなってしまうと、また景気が冷え込んでしまいますので、簡単には、金融緩和を終了するわけには行きません。



金融緩和と株価の関係は密接です。
「イールドスプレッド」という値を見てみましょう。
イールドスプレッドとは、債券や株式などの有価証券の魅力度を比較する際の指標で、金融商品間の利回りの差をあらわす分析指標です。
この値が高いほど割安と判断されますが、日本株は7%近くを保つ一方、米国は1%台後半と、2007年以来の水準に低下しています。
このことからも、日本株が割安と判断されているのでしょう。


この状況で、海外からの投資マネーが増え、日経平均が上昇していると考え
られます。


②東京証券取引所によるPBR1倍割れの改善要望

東京証券取引所は、2023年春にもプライム・スタンダード市場を対象として、株価純資産倍率(PBR)が継続して1倍を割っている企業に改善に向けた取り組みや進捗状況の開示を要請する方針を示しました。


この方針は、2022年7月末から始まった東京証券取引所の市場区分見直しに関するフォローアップ会議において、東証が継続してPBR(株価純資産倍率)が1倍割れとなっている企業に、改善に向けた計画を示すよう求める方針を明らかにしたことによります。


そもそもPBRとは、Price Book-value Ratioの略語で、株価純資産倍率のことです。
株価が割安か割高かを判断する最も重要な指標の1つです。


PBRは、企業の純資産(自己資本)に対して、株式時価総額を割った値です。
つまり、企業が持つ資産に対して、市場がどれだけ評価しているかを示す指標です。


例えば、ある企業のPBRが1.5倍である場合、その企業の株式時価総額は、その企業が持つ純資産の1.5倍であることを示します。


また、PBRは解散価値とも言われており、株式会社が解散をするときに、どれだけお金が残るかを表します。
この解散価値が1倍を割れているということはどういうことでしょうか?

例えば、わかりやすく「PBR0.5」の企業について確認していきましょう。
株式時価総額が1億円、純資産が2億円とします。
この会社を1億円(時価総額)で買収し、すぐに解散すると、純資産が2億円ありますので、1億円の利益を得ることになります。


1倍を割れるということは、実際の価値よりも安く放置されているのです。


株式は、人気投票によって価格が決まりますので、人気のない株、魅力のない株と判断されているわけです。


こんな状況を危惧して、東京証券取引所はPBR1倍割れの企業に改善するよう指示を出したわけです。

この指示により、PBRが改善するように企業は、努力をし、株価が上がっていくという予想から、日本株が上昇していると思われます。


下記は、有名な会社のPBRです。
ご参考にしてください。
グーグル:7.5倍
アマゾン:16.5倍
アップル:11.9倍
ソフトバンク:1.4倍
トヨタ:1.2倍
三菱商事:0.6倍
積水ハウス:1.11倍
ユニクロ:7.3倍


③投資の神様ウォーレン・バフェット氏の日本株への投資強化発言

投資の神様と言われている、ウォーレン・バフェット氏が、2020年8月末には65億ドル(約6900億円)をかけて日本の5大商社(伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事)の株式を5%以上取得したと発表して、話題を集めました。


バフェットは「日本企業の利益率が非常に低いため、投資先として適さない」として、これまで日本株には投資してこなかったが、商社株の買い集めは米国外の投資先としては最大規模であり、今後は保有比率を9.9%まで上げる方針まで表明していた。


そして、2023年4月には、92歳のウォーレン・バフェット氏は、来日し、日本の商社の幹部と対談し、さらに日本株への投資を強化すると期待されている。


そもそもバフェットは、将来有望でも今は割安な「バリュー株」への投資でこれまで数々の成功を収めてきており、日本の商社株を割安とみているということで、世界中の投資家が興味を持ち始めている。


海外マネー流出のリスク

ここまで、日経平均がバブル崩壊後の高値を更新したとことについて説明してきましたが、今後、日本株から海外マネーが流出するリスクについても考えていきたいと思います。


国内の投資がメインであれば、自社株や持ち株会、応援したい企業の株を買うといったように、株価に敏感に反応することは少ないですが、海外マネーはリターンについてシビアに評価してきます。


①日銀金融緩和の修正

1つ目のリスクは、日銀の金融緩和修正です。


現状は、黒田前総裁から続いている、日銀の異次元金融緩和を継続するという考えですが、前述した、物価上昇率2%の達成や賃上げ等により、修正緩和の修正の可能性は拭えきれません。


植田総裁は、経済学者です。

今までの総裁のように、日銀出身や財務省出身ではないため、政府に忖度しない合理的な判断をしてくれるのではないかと思います。


条件が整えば、金融政策は変更になる可能性は十分にあると考えられます。


②PBR1倍割れの改善失敗

2つ目のリスクは、PBR1倍割れが改善しないことです。


1倍割れをしているということは、企業が持っている資産を上手に使い切れていないのが原因です。


資本を効率的に使うには、投資先の選定や生産性の向上が挙げられます。
特に、生産性の向上に関しては、その低さが随分前から問題視されていました。


日本の生産性が低い原因には、長時間労働、アナログな管理、適切な評価制度が整備されていない、個人の持つ裁量が小さいなどが挙げられます。
これらは日本企業の文化とも言える深刻な問題です。


日本では、昔から、あるいは今でも、残業が当たり前とされ、美徳とも言われていました。
欧米では、残業イコール無能な人がするものという認識すらあります。


先輩上司が帰らないと、帰れないという話はよく聞きます。
私も会社員時代には、定時は18時ですが、19時からお客様への電話タイムでした。

そして、帰るときには「お先に失礼します」と言って、申し訳無さそうに帰っていました。
ダラダラと生産性の低い業務をやっていても効率はあがりません。。


愚痴のようになってしまいましたが、今でもこのような働き方をしている人はたくさんいることでしょう。


また、アナログ管理にしても、紙でのレポートや議事録作成、報告書類等まだまだ、非効率です。


裁量権についても、ほとんどなく、複数の上司の元へはんこをもらいに行く、無駄な時間もあります。


このように、「文化」は簡単には変えられません。
強力なリーダーの元文化を変えて行く必要がありますが、権力を持ったリーダーのほとんどは、年長者。なかなか簡単には変わりません。


このように状況が改善しないとなると、海外マネーはすぐにぬけていくでしょう。



③他国の金利低下による日本株割安メリットの消失

3つ目のリスクは、他国の金利以下による、日本株割安のメリットがなくなるということです。


前述した、イールドスプレッドが影響していますが、他国の金利が下がると、イールドスプレッドが拡大します。


日本株の成長期待と海外株の成長期待を比べると、海外に軍配が上がります。
そうすると、海外マネーは、日本株から海外株へと戻っていく可能性があります。


こちらが一番高いリスクではないかと思います。


私達の選択肢

日経平均がバブル崩壊後最高値を更新し、この記事を書いている6月13日も同最高値更新の通知がきました。


じわじわと上昇しており、ネットやYou Tubeで日経平均に関する予測が出回っています。


そんな中、私達にはどんな選択肢があるのでしょうか?


①今後の上昇を期待し、保有し続ける

②割安ではなくなり海外マネー流出をリスクと考えスイッチングする

この2つ、もしくは両方があると思います。


①に関しては、金融緩和維持とPBR1倍割れ改善が後押しとなり、
②に関しては、割安感の希薄化、1倍割れ改善ができないという要因があります。


もちろん、どちらも完璧な予測ができるもではありませんので、現時点でどちらが正しいかはわかりません。



ここからは個人の意見になります。
私自身は、日本株に投資をしていません(世界株という意味では保有しています)が、もし日経平均やTOPIXに投資をしていたと仮定すると、②を選びます。
理由は、2つです。

1つ目は、日本の成長性です。
人口減という逃れられない事実から、日本の今後の成長はかなり厳しいものになると思います。

2つ目は、久しぶりの高値です。
投資の基本は、安く買って高く売るです。
おそらく投資をしている方のほとんどは、日本株(インデックスの場合)を安く仕入れているはずです。高く売るには十分な利益が出ているのではないでしょうか。


このタイミングで、世界債券や世界株式のような、安定して長期の成長を期待できる資産クラスへのスイッチングをするのが得策ではないかと考えています。

あくまでも個人的な意見ですので、参考程度にお考えください。


まとめ

日経平均がバブル崩壊後最高値を連日更新しています。


上昇要因としては、
①日銀新総裁・植田氏による金融緩和継続

②東京証券取引所によるPBR1倍割れの改善要望

③投資の神様ウォーレン・バフェット氏の日本株への投資強化発言

上記3つが挙げられます。


しかし、今後も続けて上昇するかどうかは不明です。


下落要因としては、
①日銀金融緩和の修正

②PBR1倍割れの改善失敗

③他国の金利低下による日本株割安メリットの消失

上記3つが考えられます。


両方の可能性を考えながら、保有継続やスイッチングのご検討をしてみてください。


保有継続やスイッチングのタイミングは、全体のポートフォリオや目的によって変わりますので、判断がつかない場合は、お気軽にご相談いただければと思います。


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