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投資の基礎知識 ~相場サイクルを知っていますか?~

先週、アメリカ企業の四半期決算が相次いで発表されました。

この決算発表を受けて、アメリカのあらゆる指数が下落し、既に投資を始めている方は、資産の評価額がマイナスになってきている方もいらっしゃるかと思います。

年明けに、
Facebook(meta)の株価が半分なると予想で来ていた方はかなり少ないと思います。


積み立て投資をしている方は、現在の評価額を気にする必要はありませんが、今回お話しする相場サイクルを知ることで、より自信を持って資産形成をしていけると思うので、解説していきたいと思います。




結論

4つの相場サイクルを知ることで、今自分がどんな投資戦略を取るべきかが見えてきます。

2022年5月現在の世界経済は、【業績相場】【逆金融相場】に同時に入ったと見られています。

4月末に出された、各社の決算の状況が、市場の予想通りや、市場予想よりも悪かったという企業が出てきており、業績相場の中でも、業績が好調な企業とそうでない企業で、市場では選別が始まっています。

これまで約2年続いたどんな株式も好調という金融相場が終わりを迎え、業績の良い企業を選別していく業績相場では、保有している株式や投資信託、ETFが下落が始まる可能性もあります。

コロナ以降に投資を始めた方々は、初めての下落相場に不安になってしまうかと思いますが、今が【業績相場】【逆金融相場】が同時に来ているとすれば、今後【逆業績相場】と続き、株式市場は冷え込んでいくということをご理解いただき、あくまでも長期投資を前提として、引き続き自信を持って、資産運用に取り組んでいただければと思います。

では、ここからは、細かく解説し、今世界経済で何が起こっているのかを見ていきましょう!


相場サイクル

相場サイクルという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
もしかすると高校の政治経済で学んでいるかもしれまんせんが、覚えている方は少ないでしょう。

相場には、サイクルがあり、景気と同じく、好況と不況を繰り返します。

今が、どんな相場なのかを理解することで、投資の戦略や、心持ちが大きく変わりますので、是非知っておいてください。
特に、これから2,3年は、相場サイクルの中でも、株価への逆風となる相場が訪れる可能性が高いので、今のうちにご理解しておくとよいかと思います。


景気サイクル

相場サイクルに影響してくるのが、景気サイクルです。

不況になると、企業の業績が悪化します。

企業の業績が悪化すると、失業率が上昇します。

失業率が上昇すると、家計が厳しくなり、モノやサービスが売れなくなります。

モノやサービスが売れなくなると、企業の業績はさらに悪化します。

このような、負の連鎖を断ち切るために、中央銀行は金融緩和等の金融政策を行います。
その大きな政策が、金利の引き下げです。

金利を引き下げると、企業も私たちも、低い金利でお金を借りることができます。
企業であれば、新たに設備投資をし、売り上げを伸ばし、さらには新たな雇用や賃金上昇をもたらします。
個人であれば、住宅ローンや自動車ローンの金利が下がり、家計の負担が減り、より消費に回ります。

中央銀行が金融緩和をするということは、景気を回復する大きな原動力になってきました。

日本は、ご存じの通り、30年以上も不景気が続いているので、ずっと金融緩和状態であり、住宅ローン等の低金利に慣れきっているので、あまり金融政策について意識していないのが現状です。
現に、住宅ローンの金利が上がると聞くと、混乱してしまいがちです。
住宅ローンについては、別の記事で解説していますので、是非ご覧ください。

金融緩和と相場

契機と金融緩和は深く関わっていますが、これらはどのように関係しているのでしょうか。

中央銀行が金融緩和を発表すると、それだけで株価は上昇します。
これを【金融相場】と言います。
金融相場では、業績があまりよくない企業でも株価は上昇することがあり、株式市場全体が活気づきます。

この金融相場で、景気がよくなり、企業の業績がよくなると、次は業績が良い企業の株に選定される【業績相場】となります。
※今年に入り、世界経済は【業績相場】入りしたのではないかと言われています。

さらに、景気が良くなると、加熱しすぎた景気を抑えるために、中央銀行は少しずつ金利を上げていき、金融引き締め政策を取り始めます。
これを【逆金融相場】と言います。
景気が良いということは、消費も多く、需要と供給のバランスが崩れ、モノの値段が上がっていく、インフレーションが発生します。
※今の世界経済はまさにインフレが始まり、賃金の上昇が物価の上昇に追いつかない状態なので、各国中央銀行は、利上げを急ぎ、加熱した景気(インフレ)を抑えにかかっています。

金融引き締めが起こると、企業も個人もお金を借りづらくなり、設備投資や消費が抑えれます。
その結果、企業の行政が悪化していく【逆業績相場】となっていきます。


【金融相場】【業績相場】【逆金融相場】【逆業績相場】の4つを相場は繰り返し行っていきます。

それぞれについて、少し掘り下げてみましょう。

4つの相場

金融相場

金融相場は、前述したとおり、中央銀行が利下げ等の金融緩和を実施し、企業や個人が使えるお金が増えます。
使えるお金が増えると、企業は新たな設備投資をします。

設備投資は、新たな働く場所を提供してくれたり、新たな商品を生み出すこともできます。
そうすると、企業も儲かり、雇用や賃金上昇といった、好循環に変わります。

個人は、住宅ローン等の返済負担が軽くなり、その浮いたお金を消費に回します。
また、賃金が上昇していればその分暮らしも豊かになるので、やはり消費に回ります。

消費をするということは、企業の売り上げが上昇するということです。
企業は、さらなる設備投資をし、雇用を増やし、賃金を上げていく、という景気が上向きになっていくのが、金融相場の良いところです。’

金融相場では、金利や為替といったマクロ要因(市場全体の要因)が重視され、企業の業績が回復していくだろうという期待から、株価は上がっていく傾向にあります。


業績相場

業績相場とは、景気拡大局面に見られます。
金融相場での金融緩和の影響が、売り上げや決算という形で表れてきます。
金融緩和の影響を受けて、好決算を迎える企業が出てきます。

業績相場では、個別の業績等のミクロ要因を背景に、上昇していくことが多いので、企業の決算状況により、さらに株価を伸ばす企業と、株価の下落が始まる企業に分かれていきます。

金融相場のように、どこに投資をしても好調というようにはいかなくなってきますので、気をつけてください。


逆金融相場

逆金相場とは、過度な景気拡大により、金融引き締めを行う局面です。

金融相場と業績相場により、企業も個人も投資や消費に対して、前向きになってくると起こる問題が、
「モノ不足」です。
モノが不足すると、企業は値上げを行います。インフレーションです。
ある程度の値上げは、企業業績に好調で、雇用や賃金上昇をもたらしますが、行き過ぎた値上げは、賃金の上昇が追い付かず、家計を直撃し、富裕層と貧困層の格差を広げていきます。

例えば、年間5%ずつ賃金が上昇していくとしても、物価が年間10%上昇していまっては、実質の賃金は5%下落したことになります。

この状況を抑えるために、中央銀行は金利を上げる、金融引き締めに入ります。

金利が上がると、企業は新たな設備投資ができなくなり、個人もローン金利が上がり、消費が抑えられます。
そうすると、「モノ不足」が解消され、物価が下がり、格差を是正できるようになります。

そして、金利が上がるということは、債券や固定金利の金融商品へ資金を移していきます。
従って、株式市場からお金が引き上げられ、株式相場は下落していく傾向にあります。


逆業績相場

逆業績相場は、金融引き締めにより、企業の業績が悪化し、景気後退局面となります。

企業の行政が悪いということは、株価が下落していき、投資家にとっては、一番不安になる相場です。


景気が悪くなると、失業者や賃金下落が続き、さらに景気にマイナスな影響を与えるので、それを抑えるために、金融緩和を実施し、景気を上向きにしていくよう、中央銀行は働きかけます。



このように、4つの相場サイクルは、ぐるぐると回りながら、経済は成長していくのです。



今の相場とこれからの相場

4つの相場サイクルがあることがご理解いただけたと思いますが、ここからは、現状を分析し、これからに備えるお話をしていきたいと思います。

通常、4つの相場サイクルは
金融相場 ➩ 業績相場 ➩ 逆金融相場 ➩ 逆業績相場
というように、順番に循環していくことが多いです。

その中で、現状はどうなっているかというと
業績相場と逆金融相場が同時に来ている可能性があります。


コロナ禍での大規模な金融緩和から、リベンジ消費が起き、株式市場も需要も拡大しました。
拡大しすぎた需要で、労働力不足やエネルギー不足により、歴史的なインフレが発生しました。
それに加えて、ロシアのウクライナ侵攻により、エネルギーや資源、穀物等も供給が減ってしまいました。
物価は、急激に上昇し、各国中央銀行は、インフレ抑制のために利上げに動き、【逆金融相場】の様相を呈しています。

株式市場では、金融相場で買われすぎた、株式の選別が始まり、個別の会社の業績を重視する、【業績相場】となってきました。
4月の下旬に、続々と発表された四半期決算で、業績が良い企業は株価をキープし、業績が市場予想を下回った企業は株価を大きく下げました。

前述した、Facebook(meta)は年初から48%の下落。
Google、Amazon、テスラも20%以上の下落。
世界を引っ張っていた企業の株価が相次いで下落しています。

この二つのサイクルが同時に進行していると考えると、次に来る相場は、【逆業績相場】です。
そうなると、株価は今以上に下がり、世界経済全体の成長が鈍化し、私たち投資家にとっては、あまり良い局面ではなくなるかもしれません。


まとめ

相場サイクルについて、循環しながら経済は動いているという大枠がつかめたかと思います。

そして、これからの数年間は、投資家にとっては、あまり良い局面ではないかもしれません。

しかし、勘違いしてほしくないのは、こんな状況だから投資をやめることを推奨しているのではないということです。


相場サイクルによって、適切な投資対象もあります。
なにより、多くの方が、10年20年先の資金として投資をしているはずです。

そのような長期目線の投資家にとっては、サイクルがあることで、ドルコスト平均法を最大限に活かしながら、将来の大きな利益のために、【仕込む】時期でもあります。

積み立て投資をしている方であれば、株式のバーゲンセールが始まると考えていただければと思います。


また、資産を守るフェーズに入っている方は、ポートフォリオを見直し、これからの相場に強い投資対象をご検討してみてください。


私は、まだまだ長期投資目線なので、毎日株価が下がることを楽しみにしています♪

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