BLOG ブログ

ジュニアNISAのラストチャンスを逃すな!

ラストチャンス間近のジュニアNISAの問い合わせが多数あったので、解説していきたいと思います。


皆さんは、ジュニアNISAという名前を聞いたことがありますでしょうか?

「NISAや、つみたてNISAは聞いたことがあるけど、ジュニアNISAは知らない!」

という方もいらっしゃるかと思います。


ジュニアNISAとは、子供(18歳未満)名義の証券口座で利用できる「少額投資非課税制度」のことです。

実際に運用するのは、もちろん親権者ですが、子供名義の資産運用を一定条件のもと【運用益非課税】で運用することができる、とても魅力的な制度です。


しかし、このジュニアNISA制度は、2023年を持って、新規の投資を終了します。
実質、「ジュニアNISA廃止」となるのです。


今回、廃止されるジュニアNISAの、【なくなったデメリット】【メリット】【利用する場合の投資戦略】について解説していきたいと思います。



結論

結論から言うと、
【親のNISA枠を使い切っている人はやるべし!】

【ご実家がお金持ちの人はやるべし!】

です。

ジュニアNISAは、廃止が決定され素晴らしい制度になりましたが、あくまでも「子供名義」の口座です。
まずは、ご自身のNISA枠を使うことがおすすめです。

ご自身(ご夫婦)のNISA口座や、つみたてNISA口座の枠が埋まっていない方は、まずはそこから取り組むべきです。

NISA口座だと、年間の非課税投資上限額は120万円あり、つみたてNISA口座だと、年間40万円あります。
夫婦で考えると、それぞれ年間240万円、80万円の枠があることになります。

家族の貯金が増えないのに、子供の貯金だけ増える家計はあまりないと思います。
まずは、家族(親)のお金、その次に子供のお金と管理していくのと同じように、
親のNISA ⇒ ジュニアNISA
という順番が一般的です。


また、ご実家がお金持ちの場合は、
おじいちゃんおばあちゃんに、ジュニアNISA枠を活用してもらうという手段です。

一般的なご家庭で、ご夫婦でつみたてNISAで80万円投資し、さらに投資する家庭というのは少ないのではないでしょうか?
一般NISAの場合だと240万円投資した後に、ジュニアNISAまで投資するのは、かなりの世帯年収が必要です。

個人的には、そもそもジュニアNISAは、祖父母からの援助により成り立つように設計されているのではないかと思います。

お金持ちの高齢者から、孫へお金がわたり、余裕のできた親が消費にまわり、経済が活性化するというのが理想のモデルケースだったのではないでしょうか?

いずれ払うことになる、相続税や贈与税を節税しながら、孫のためになる有意義なお金として、
ジュニアNISA口座をご実家に活用してもらってはいかがでしょうか。



この2つのどちらかに当てはまる方は、是非ジュニアNISAを利用してみてください!
そうでない方も、利用する価値はありますので、是非、詳細をご理解いただいた上で、ご活用してみてください。




ジュニアNISAとは

ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)とは、2016年にスタートした、子どもの将来に向けた資産形成をサポートするために導入された非課税制度です。
少額投資非課税制度とは、投資で発生した利益に対して、投資限度額までは非課税とする制度です。
一般的に、投資で発生した利益には、20.315%の税金が課されます。

例えば、100万円を投資し、200万円に増え、100万円の利益が出た場合には約20万円の税金がかかりますが、この20万円を非課税にすることができます。

ジュニアNISAの投資上限は、年間80万円までです。

ジュニアNISAの利用(口座開設)ができるのは、日本に居住する0歳から17歳までの未成年者です。

ジュニアNISAの口座管理や運用については、原則として未成年者(子ども・孫)は行いません。
口座開設者は未成年者の名義となりますが、親などの親権者等が未成年者に代わって口座の管理・運用を行います。
もし未成年者本人が金融商品の売買注文を行う場合は、そのつど親権者等の同意が必要になります。
これが、まずは親のNISA枠を埋めたい理由です。
運用中や期間後の取り扱いに難点があります。わざわざジュニアNISAでめんどくさい手続きをするよりも、まず、自分の口座でNISA枠を使うということが大前提だと考えたほうが良いでしょう。


ジュニアNISAが利用できる期間は、2016年から2023年までとなっています。
その他のNISAは、期間が近づくと延長されてきましたが、ジュニアNISAに関しては、現状2023年で打ち切りということになっています。


ジュニアNISAの根本的なデメリット

ジュニアNISAが持っていた根本的なデメリットとは、
①子供が18歳になるまでは原則払い出し不可
②途中解約すると過去にさかのぼって利益全部に課税される
という二点です。

この二点が圧倒的にジュニアNISAを使いずらくしていたのです。

18歳まで払い出しができないということは、
「私立中学・高校の教育費に充てられない」
「運用益が出ているタイミングで売却できない」
というライフプラン上のデメリットと、投資をする上でのデメリットが存在します。

これだと、プロ目線で見てもおすすめできる制度ではありませんでした。


なくなったデメリット

皮肉なことながら、あまりにも使い勝手が悪く、不人気だったジュニアNISAは廃止が決定されました。

廃止が決定されると同時に、法改正があり、デメリットがなくなりました。

改正された点は、
①子供が18歳になるまで、非課税で運用が可能(2024年以降の新規投資は不可)
②2024年以降、途中解約しても過去に遡って課税されない
という二点で、これにより、使い勝手が向上したのです。

このデメリットがなければ、ジュニアNISAに魅力が出てきました。


ジュニアNISAのメリット

運用益が非課税

法改正により、18歳まで運用益が非課税となります。
(18歳からは成人のNISAと同じ扱いになりますが)

例えば、0歳の子供が残り2年で80万円の枠を使うことができれば、160万円の投資元本をなります。

①債券等で手堅く3%の利回りで17年運用した場合
評価額が260万円となり、運用益100万円の20%、20万円の節税効果

②株式等でリスクを取りながら6%で17年間運用した場合
評価額が430万円となり、運用益270万円の20%、54万円の節税効果

かなり大きな節税となります。


非課税枠を増加

少額投資非課税制度の枠を増加することが最大のメリットです。

世帯によって、年間で投資できる額はそれぞれですが、つみたてNISAをしている夫婦と子供が2人だと
つみたてNISA40万円 × 2 + ジュニアNISA80万円 × 2 = 240万円まで非課税で投資可能
となります。(年間ここまで投資に回せると将来かなり有利です)


子供のためのお金として管理

お金を確実に貯める方法として、「目的別資産管理」を推奨していますが、ジュニアNISAは子供の名義なので、名実ともに「子供のお金」として管理することができます。

この点においては、親のNISA枠を利用していなくても、メリットが出てきます。
ただし、扱いは面倒になります。

確実に、教育資金や就職祝い、結婚祝い等の子供のためのお金として用意ができます。


相続税・贈与税対策

前述した、ご実家からジュニアNISAへ投資してもらう場合に、将来発生する相続税や贈与税を節税することが可能です。

毎年80万円という額は、贈与税の暦年贈与(非課税で他人にお金を上げる)の110万円の範囲内となります。
これを2年間入れてもらうだけで、将来の相続税対策にもなります。

また、ある程度の資金拘束力もあるので、親や子供自身が気軽に使うこともないため、祖父母も安心してお金を譲ることができます。

ただし、暦年贈与については来年の法改正で廃止OR縮小になる可能性もあるので、ジュニアNISAに限らず、なるべく早く利用を開始することをおススメします。


子供の投資教育

日本でも2022年度から、高校の授業で金融教育が始まります。
今まで日本人は、金融教育を受けることがなく、社会に出て、無知のまま投資をして失敗してきました。
それを防ぐ意味でも、金融教育がスタートしますが、ジュニアNISAは自分名義の投資で、実際にプラスになったりマイナスになったりと、リアルに自分事として、投資に向き合うことができます。

これは、社会に出てから大きなアドバンテージになります。

投資は、長期でやることが一番重要です。

もし、先ほどの事例で、160万円を6%で運用しながら、子供が60歳を迎えるとどうなるでしょうか?
評価額は5200万円を超えます。
親や祖父母が出してくれた160万円が60年の時を経て30倍以上の資産になるのです。

もう、孫や子供の老後を心配する必要がありません。



是非、ジュニアNISAを活用しこれらのメリットを享受してください!


ジュニアNISAの投資戦略

ジュニアNISAで投資をするときの投資戦略についてみていきましょう。

投資をする際には、必ず投資戦略というのが必要です。

投資戦略を決めるには、まずジュニアNISAの投資資産をなにに使うかというのを決める必要があります。
使い道によって、使う時期が変わり、投資戦略を分けるのです。


ジュニアNISA口座開設目的

ジュニアNISAの口座開設の目的はご家庭によってそれぞれですが、皆さんがどんな目的をもって、開設しているかを金融庁のデータを参考にして見てきましょう。


教育資金準備:約60%

就職時・成年時の手持ち資金準備:約40%

将来の急な出費への備え:約30%

結婚資金準備:約15%

となっております。
複数回答可ですが、子供の教育資金や成人・就職というように
18歳~22歳ころに使うお金としてジュニアNISAを利用する方が多いようです。


ここから、子供が18歳から22歳になるまでの間の投資戦略をご紹介します。


子供が0歳から5歳

投資期間が15年以上取れる場合は、基本的には【株式】投資がおすすめです。

世界中の株式に分散投資する投資信託を選択すると、15年以上運用した場合の過去のデータでは、誰一人マイナスになった人は存在しません。
投資期間が長期になればなるほど、リスクは下がり、リターンは大きくなります。

その長期投資の目安が、「15年」としていただくと、5歳までに投資を開始できるとリスクを抑えることができます。


その中で、現状の株式市場を考えると、インフレやウクライナ情勢で不安定な状況です。
2023年と短い期間ですが、80万円を分割して積み立て投資をする方がおススメです。

今後株価が大きく下がり(20~50%)、割安になった場合には、一括投資を検討してもよいかもしれません。




子供が6歳から10歳

投資期間が10年から15年未満の場合は、【株式と債券】の組み合わせが最適です。

年齢が高ければ高いほど、債券の比率を高めることで、リスクを抑えることができます。
外国の債券は、10年以上投資をすると過去のデータでは、損をした人はいませんでした。
債券と言うのは、大きな利益は出ずらいですが、安定的に成果を出してくれる資産クラスです。

守りの資産として、債券を組み入れることで、短い投資期間でもある程度の成果が出るはずです。

将来、目的の用途が近づいてきた場合に、「株式」のパフォーマンスが、一時的に悪い場合は、「債券」から売却し、目的の用途に充てると良いかと思います。
その後、株式が2,3年で回復してきたら売却するというように、タイミングをずらして使う効果が得られます。

具体的な比率については、ご家族のリスク許容度によって変わります。


子供が11歳以上

子供が11歳以上の場合は、積極的な投資はおすすめしません。
基本的に、目的の用途が10年以内の場合は、現金や財形貯蓄、日本債券のようにほとんご利回りのまい商品で確保するのが良いかと思います。

それでも、ジュニアNISAを利用したい場合は、目的を変更し、就職時や結婚祝い金等に充てる目的で、年数によって【株式と債券】で運用してみてください。


さらにリスクを下げたい方へ

これまで過去のデータをもとに、年数別の運用戦略をご紹介しましたが、運用商品である以上、【確実】ということはありません。

あと2年という短い新規購入期間を考えると、ドルコスト平均法も最大限に力を発揮することもできません。

そして、教育費であれば、いつまでに必要かが決まっていますので、【運用の着地】についても考えておきましょう。

スイッチング

スイッチングとは、これまでに保有してきた資産を売却し、新たな別の資産を購入することです。

株式メインで運用している方は、長期投資で、資産が2倍3倍となっているかもしれません。
それが、いつ起こるかわからない金融危機によって、評価額が30%減ってしまったり、50%減ってしまうことも株式の特性上有り得ます。
それを、回避するために、「目的の数年前から安定した資産にスイッチングする」ことをおすすめします。

具体的には、「株式」 ⇒ 「債券・現金」へ、2~3年前を目安に実施(リスク許容度により年数は異なります)するのが良いかと思います。



借入を利用する

これは奥の手ですが、「借入」も一つの手段です。

奨学金や教育ローンを利用して、一時的に教育資金を用意することもできます。

過去のデータでは、市場の下落が続く弱気相場は、【最長2年】でした。
(米国のS&P500の場合)
その後、強気相場に入ると、平均で1年の間に43%の回復をするのです。

この数年間を、「借入」という手段を利用して補い、市場が回復したら一括返済をするということも可能です。
証券会社によりますが、「証券担保ローン」といって、保有している金融商品を担保にローンを借りる手段もあります。

ローンと言うと、あまり前向きではありませんが、上手に【金融】を利用してみてもいいかもしれません。



まとめ

ジュニアNISAは、皮肉なことに廃止決定後に利用価値が上がった制度です。

ただし、その根本は、投資で出た利益を非課税にできるという制度です。

資産運用についてしっかりと理解し、ご自身の目的に合わせてご活用いただくことが重要です。

「周りがやっているから」、「ラストチャンスだから」

ということではなく、資産運用の重要性と家族の資産や投資戦略に合わせた制度利用が前提です。

各種NISAや確定拠出年金利用の際には、周りの意見に振り回されず、ご自身の目的に合っているかをご確認いただき、その目的に合った、【制度選択】と【投資戦略】をとっていただければと思います。


ライフプランや各種資産運用相談は、お問い合わせフォームよりご予約ください。


CONTACT
お問い合わせ

各種お問い合わせ・ご相談は
お気軽に下記のフォームから
お問い合わせください。